2代目御礼文3種



列車から降り立ち、しんと凍える外気に触れる。
占いの客だろうか。
同じ列車から降りて来た乗客達が、寒さに身を震わせて背を丸めたり上着の前を合わせたりしながら、 三々五々に散って行く。

グルメフォーチュンの大通りを抜け、トリコの足は真っ直ぐココの家に向かっていた。
鍛えられた体躯ゆえ、常人に比べたら身に沁みる寒さは然程厳しくは無い。
それでも、吐く息が白くなるこの時期は、温かい物が恋しくなる。

 湯気の立つ料理と、暖かな部屋と、温もりを分かち合える恋人と……。

こんなにも寒い日は、温かいシチューが良い。
これから訪ねる事は伝えていないが、ココならばきっと作ってくれているだろう。
トリコが到着する頃には、熱々のシチューが大鍋にたっぷりと出来上がっている筈だ。

浮き上がる笑みを口元に乗せて、トリコは歩くペースを速めた。





寒さが身に沁みる季節でした。






もうすぐ、降りて来る。
曇天の空を見上げ、ココは待っていた。

良過ぎると言われる眼が、灰白色の雲に極々小さな光を見付けだす。
ゆらりゆらりと落ちて来る光の正体は、雪。
この冬初めての雪だった。

ゆっくりと降りて来た雪が、広げたココの掌で…消える。

儚くも美しいこの初雪に、願いを掛けると叶うと云う。
占いに訪れた客達が話していた、他愛も無い噂なのだけれど……。

  会いたい

秘め続けていたこの想いが、彼に届くように。
雪の結晶が掌で溶ける如く、彼の心に染み入るように……。

雪降る空に顔を向けたまま眼を閉じて、静かな祈りを捧げる。
切なくも真摯な想いに沈むその姿は、美しい彫像のようだった。



優男、食いしん坊ちゃんに片想い中。






何コレ?
と、問えば
コタツ
と、簡潔な答え

いや、だから、何でボクの家に馬鹿でかいコタツが鎮座しているんだ!
だいたい、どうやって運んだ!!

ま、イイから、ココも入れよ。

ボクの怒鳴り声など、まるっと無視して、トリコに引き摺り込まれる。

………
どうだ? あったかいだろ?

   お前の方が、温かい。


危うく口を滑らしそうになって、誤魔化す為にコタツに潜り直した。





冬の風物詩。





(09/7/15 up)