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列車から降り立ち、しんと凍える外気に触れる。 占いの客だろうか。 同じ列車から降りて来た乗客達が、寒さに身を震わせて背を丸めたり上着の前を合わせたりしながら、 三々五々に散って行く。 グルメフォーチュンの大通りを抜け、トリコの足は真っ直ぐココの家に向かっていた。 鍛えられた体躯ゆえ、常人に比べたら身に沁みる寒さは然程厳しくは無い。 それでも、吐く息が白くなるこの時期は、温かい物が恋しくなる。 湯気の立つ料理と、暖かな部屋と、温もりを分かち合える恋人と……。 こんなにも寒い日は、温かいシチューが良い。 これから訪ねる事は伝えていないが、ココならばきっと作ってくれているだろう。 トリコが到着する頃には、熱々のシチューが大鍋にたっぷりと出来上がっている筈だ。 浮き上がる笑みを口元に乗せて、トリコは歩くペースを速めた。 寒さが身に沁みる季節でした。 |
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もうすぐ、降りて来る。 曇天の空を見上げ、ココは待っていた。 良過ぎると言われる眼が、灰白色の雲に極々小さな光を見付けだす。 ゆらりゆらりと落ちて来る光の正体は、雪。 この冬初めての雪だった。 ゆっくりと降りて来た雪が、広げたココの掌で…消える。 儚くも美しいこの初雪に、願いを掛けると叶うと云う。 占いに訪れた客達が話していた、他愛も無い噂なのだけれど……。 会いたい 秘め続けていたこの想いが、彼に届くように。 雪の結晶が掌で溶ける如く、彼の心に染み入るように……。 雪降る空に顔を向けたまま眼を閉じて、静かな祈りを捧げる。 切なくも真摯な想いに沈むその姿は、美しい彫像のようだった。 優男、食いしん坊ちゃんに片想い中。 |
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何コレ? と、問えば コタツ と、簡潔な答え いや、だから、何でボクの家に馬鹿でかいコタツが鎮座しているんだ! だいたい、どうやって運んだ!! ま、イイから、ココも入れよ。 ボクの怒鳴り声など、まるっと無視して、トリコに引き摺り込まれる。 ……… どうだ? あったかいだろ? お前の方が、温かい。 危うく口を滑らしそうになって、誤魔化す為にコタツに潜り直した。 冬の風物詩。 |
(09/7/15 up)